東京に残った娘

私たちの娘は、東京でCGデザイナーをしている。2D、3Dどちらもできるので、なかなか繁盛しているらしい。フリーランスで活躍しているようだ。

こっちに来る時、かねてから一人で暮らしてみたいと言っていたので、ちょうどいい時期だと、アパートを探して小金井に残った。初めての一人暮らし。短大を卒業してその後専門学校を終え、同時に業界ではかなりの大手に就職も決まった。そこはすごく忙しく、ものを作っていくにはいい環境とは言えず、作りたいものは作れず、駒の一つになっていくことには我慢できなかったようだ。半年頑張ったが、やはり会社には馴染めなかったようで、半年くらいで会社をやめることになった。そして、大樹町のうちに初めて来た。10日ほど滞在した。仕事も大変で、初めての一人暮らし、この時が一番大変な時期だったのだろうと思う。父と娘はいろんなところへ行ったらしく話もたっぷりできたようだ。私と言えば、仕事も休めず夕飯に三人で地元の美味しいものを料理してたべたのと夜、帰る前に三人で登ってくる鮭を見に行った位しか一緒にいられなかった。あのときは空港で別れるのがほんとに悲しかった。(正直、心配で心配だった。)

その後縁あって、娘も良い監督と知り合い家族の一員のようにお世話になっているし、フリーでの仕事も順調のようで、十勝にはほんとに楽しみに遊びに来る。今では楽しく見送れるようになった。

実は、昨日まで滞在していて帰ったところだ。

今年はたっぷり休みを取って、二人でドライブできた。六花の森を二人で散策して話もたっぷりできた。三人で海も見に行った。

空港の六花亭で限定ロールを買ってロビーで食べるのが恒例。飛行機が飛び立つまで見送って大樹町にもどった。ちょっと寂しいけど、こんど来るのが楽しみだ。

 

 

桜の不思議

東京から引っ越してきて二年ばかりここに桜はほとんどないと思っていた。でも、今年はこの町にもずいぶん桜があるのを発見した。え?ここにも?といった感じで、見慣れたはずの風景のそこここに桜の樹がある。今まで見てきたはずなのに。

小金井公園は桜の名所で、毎年春になると見事なソメイヨシノが見られ、桜祭りも盛大だ。引っ越しの寸前も桜祭りで、引っ越しのかたずけの合間に盛大な花見をやってきた。北海道は季節が本州より遅いのでこっちも桜があると思ったがそうでもない。というか、ぜんぜん無い。…と思っていた。次の年、すこしはあるんだぁ。と何本かの桜を見かけた。そんな二年だった。環境が変わって、仕事が変わって、だんだん落ち着いたからなのかもしれないが、気づかなかったんだろうか?

今年はあっちにもこっちにも桜の木をみつけてちょっと嬉しくなった。ソメイヨシノとは違うので、咲き方も少し違うんだが、一斉に木々が緑になるのとともに桜も咲いてこっちはこっちで春到来だ。

でも、やっぱり不思議だ。川の土手も、丘の上も桜がたくさんある。

春が来ると

ほとんどの雪が無くなった。リスが毎朝顔を見せる。

ふきのとうが出るとそれからはあっという間だ。5月には山菜蕎麦の会なんかがあって楽しみだ。近くの山に行ってワラビやこごみが採れる季節。花や新緑が一斉に出てきて庭にも花がいっぱい咲く。

ここに住んでいるのはとても快適だと書いたが、町にはスーパーマケットやコンビニ、ホームセンターもあって、生活用品には困らない。たまに行く帯広のイオンやカルディ、ユニクロなんかもあってたまにたっぷり買い物をする。近くだと中札内にマックスバリューもある。雪がなくなると車も走りやすいのでお買い物も楽しい。

でも、Amazon、楽天市場、もろもろのネットショップは欠かせない。(ヤフオクもね)前は吉祥寺に気軽に行ける環境だったから、探し物はすぐに手に入った。今はほしいものがあるとネットで探し、まあ大体のものを手に入れている。そんな風なので、かえって自然に買い物も絞られているかもしれない。普通のものが高かったりするが、東京だと高級食材みたいなのがびっくりするほど安かったりするので、美味いものを食べられる楽しみもある。

不便とはあまり思わないが、大樹町に今年ドラッグストアができるらしい。そして、ここ数日はロケット打ち上げで盛り上がっている。(中止になったけど)

淡々と毎日を過ごしていたら髪が伸びた。来て半年くらいの時に大樹町の美容室に行ってみたが腕前はよかったのだが、ちょっと気恥ずかしいくらいの空間だったのでイオンの中のカット専門店に行くようになったのだが、冬場はどうも遠ざかる。そろそろ髪も切って初夏の北海道を満喫しよう。

ついに丸3年

なんだかんだと言ってるうちに、この春で大樹町に移って3年になった。帰りたいなんて一度も思わなかった。ここは良いところだ。

先日免許証の書き換えがあって、運転免許証もついに北海道のものになり表書きの住所も大樹町になった。今の職場にも丸二年いることになる。2015年移住当時の研修生生活のまとめは近く書くことにして、今のことを久しぶりに記そう。

大樹町は、田舎だ。東京モンがちょっと来て言うんじゃなく東京からこっちに越してきた者が言うんだから。(3年いるからいいよね)人々の生活環境が東京とは全然違う。

隣町とは微妙な競争意識があり、とくに広尾町との関係は面白い。私の職場はほとんどの人が広尾町から通っているので、けっこうそんな関係性を感じることが多い。たとえば、「昨日大樹町は雪がずいぶん降ったねえ…。」といえば「広尾町は倍くらい降ったよ。」てなぐあい。仲が悪いわけじゃないけどなんだか競い合っている。どんな些細な出来事も大樹町民と広尾町民が話しているとこの競争意識がしょっちゅう見える。宮沢賢治の「ドングリと山猫」を思い出すようないざこざも見る。そんなことがひとつ。それと、職場でいえば子供の頃から同じ環境で育ち同じ学校に行って、同じ町内に暮らし同じ職場に何十年….。外の者が入ってくれば、全くのよそ者なのだ。私は、かつて幼稚園から大学院まである私立校の中学、高校に通っていた(しかも女子校)が、それのもっとすごいやつ??って感じだ。(この時の経験でわりと早く傾向と対策はわかってきた)馴染むというより、そのコミュニティーの深くに入り込まず、よそ者の距離感を保ちつつほどよく馴染むと言った感じか。地元の人との、この距離感は、ここで暮らしていくには大切なスキルなのかもしれない。(さすがにそんなよそ者に対して根掘り葉掘り調査活動には余念がないのだが)まあ、腹の立つことも多いが、今のところ普通にやっている。チャンシーもそんな町対抗合戦みたいな中で私よりもずっと馴染んでやっているようだ。

私もチャンシーもそのまえに町のイベントなどでアフリカ音楽やってます、とか新聞に載ったりしていたのでちょっと他の移住者とは違うのかもしれないが。

方言というか、早口で話していると初めは何を言っているのかわからないこともあった。北海道は訛りがないなんてうそです。広尾は海の町なのでけっこう言葉も荒っぽく、とにかくみんな怒っているようにしか聞こえなかった。わからない単語もいろいろ出てきて微妙に外国人みたいだった。基本みんないい人なので解説はしてくれるんだが。今ではだいたいわかるよ。

今季は雪が多かった。やっと解け始めて草も少し生えてきた。ここの春は、雪が溶けると一気に花も咲いて春がきた!っていう嬉しい感じがいい。これから、こっちは山菜が出てきて美味いものもどんどん出てくる。東京より日照時間が長いので朝も夕方も長くなる。

私たちが来た年に着任した地域おこし協力隊の面々も卒業。

また新たな年が始まる。

 

 

 

蕎麦

蕎麦屋「一秀」の高橋一秀さんは、蕎麦を畑で作るとこから一貫して旨い蕎麦を追求している。雑誌「スロウ」にもとりあげられたあの人だ。店はシーズンの土日くらいしかやっていないので、幻の蕎麦屋である。大樹町木工クラブ「くるみの会」の工房のすぐ近くに店を構え、だいたいは木工クラブの方に居るのだが…。ここで、創っている木工作品も素敵なものが多い。いろんなことを楽しんでやっている面白い人だ。

根っからのアーティストである。

一秀さんが会長を務める大樹町「蕎麦作り研究会」に入会した。ここには蕎麦打ち有段者も何人かいる伝統のそば研なのだ。大きなイベントとしては祭り会場での蕎麦屋出店、大樹町そば祭りの開催がある。そば祭りは毎年行っているが、是非自分で打てたらいいなあと思っていた。東京で北海道のそば粉を取り寄せて本を片手に打ってみたこともあった。自分で食べるので段を取ろうというわけではないので時々そば道場に行って打たせてもらって持ち帰る。行けるときは祭りを手伝い、毎月の会合にお邪魔する…そんなスタンスで参加することにした。

で、6月始めて打たせてもらった。いわゆる二八そばというやつだ。教えてもらいながらなので、うまくできた。これからきっと奥が深いそば打ちの世界なのだろう。今月もそば研の例会で打って持ち帰る。切った後の耳を持ち帰って、油で揚げたチップスも美味。

なんたって、大樹町産蕎麦、自分で手打ちである。

蕎麦持ち帰り用の容器も用意した。今月の蕎麦研は、今日だ。今晩も旨い蕎麦をたべよう!

一人ドライブ

東京にいると車で移動というのはほとんどなかった。何人か乗り合わせなければ駐車場代もあるし、もったいないので大抵はJRの駅まで出るか、30~40分くらいなら自転車で移動した。吉祥寺へ買い物に行く時はだいたい自転車で荷物を満載して(そのために荷物がたくさん乗る自転車に乗っていたので、大樹町で乗っていたら珍しがられた)今ではマイカーsmartもあるし、車生活に慣れてきたので、季節もいいことだし一人帯広までとか、中間地点の中札内のスーパーに遊びにいくことにした。先日は帯広までいってみたが、昨日は中札内方面に。大樹町にはローカルスーパーがあり地魚などビックリ価格で新鮮なものが手にはいるが、逆にふつうのものはちょっと高い。マヨネーズとかインスタントコーヒーとか。ドラッグストアもないのでそういうものを買いにいく。という口実でドライブだ。

帯広にはカルディがあるので、コーヒーやオリーブのカンズメなんかを買いにいく。

こっちの道は国道以外を使うと他の車にはぜんぜん出会わないというのもよくある。こんな道が  ずっと続いていて開けたところは景色が素晴らしいのでドライブも楽しい。絶景ポイントもたくさんあり、十勝ならではの風景が広がっているので、国道だけじゃもったいない。帰りは国道以外の道から行きたい。まさにカントリーロードな感じだ。この先長い上り坂を超えて大樹町に入る下り坂の景色が好きだ。

ちょっと丘の上に牛がいたりする。鹿やキツネが横切ったりもする。
中札内のちょっとはずれには、有名な花畑牧場がある。ここのカフェでピザとかソフトクリームとか生キャラメルものの試食をしたり、日曜の牧場ショーをちらりとみて北野武美術館を見たり。近くには六花亭の庭園や美術館、カフェ、中札内美術村っていうのもある。まだほとんどいったことないが…。たけし美術館も初めて入った。点数は少ないもののなかなか面白い作品が置いてある。昨日はナポリピザでお腹一杯でソフトクリームはやめておいた。この時期、十勝では美味いソフトクリームがいろんなところで食べられる。(大樹町にも広尾町にもうまいソフトクリームポイントあり)

あんまり近所の人がふらっと来るポイントではなく観光ポイントなので、ちょっと一人は目立つのだが…。

まあ、今年はちょっと近郊の観光スポットも探索しようと思っている。

季節オープン

こちらの施設は、冬の間閉めているところが多い。行ってみようかな〜と思っているうちに冬が来て閉ってしまう。今年こそ、近くを散策しよう。

「大森ガーデン」に行ってみた。大樹町から国道を広尾方面に少し走る。地元の人はあまり入ったことがない人が多いようだがガイドブックなのにも載っている。うちからは結構近い。なかなかホームセンターには売っていないハーブを探しに行った。さすがにまだほとんど花は無いが、大きな芽がたくさん出ていて、それだけでも面白かった。雑貨なんかも置いていて楽しめる。ゴールデンウイークを過ぎたら花もたくさん咲くだろうから、この日は入らなかったが近いうちに是非カフェにも行ってみよう。
 今はこのあたりは、つくしがたくさん生えている。武蔵野公園の土手でよく取ったが、こっちのは立派だ。探してとるというより良いものを選んでとる感じだ。ハカマを取ってアク抜きし佃煮にした。北海道の人はあまりツクシは食べないようだ。聞いてもどこに生えているかわからなかったが、春になると庭にもたくさん出るのがわかった。
 庭といえば、あちこちから毎年クロッカスが出てきて何種類かの色違いが咲く。これから花がどんどん咲いて我が家の庭も賑やかになる。まだまだ、北海道は雪がちらつく時もあって寒いが、雪はほとんど無くなって、いよいよ爽やかなシーズンが始まる。昨年は雨が続いて台風も来て晴れた日が少なく残念だったが、今年は北海道ならではの爽やかな初夏が来るのが楽しみだ。….その前に、山菜が大量に取れるシーズンもあるのだ。

 

丸二年

こっちに来て今日で丸二年になった。SNSで2015年の写真というのがでてきたので、「はあ~そうだったっけ。」と思ったわけだ。

今のところ、順調に暮らせている。今年は二人とも働いているので多少は余裕も出てきたので、美味しいものなんかも買ってみたりしている。この二年で繋がった人たちとの縁で自分でチーズを作ったり、パンロゴクラブも大樹町だけでなく帯広に呼ばれて何回かやってみたりした。長年会えなかった友人とこちらで再会したりしたこともあった。オリーブの鉢植えも増えた。近所のおばあちゃんがおすそ分けで赤飯(こっちのは甘い)を届けてくれたり。パンロゴクラブも地域のイベントで何回か演奏してきた。先日は、介護施設で演奏をして大変喜ばれてお年寄りたちとパンロゴパーティー。100歳のおばあちゃんがマラカスを持って笑っている姿は素晴らしかった。

昨年は、初夏から雨や台風続きで悪天候が多かったのだが、今年はまたさわやかな夏が来ることを期待している。

やっと春らしくなってまた花が少しづつ庭に咲いてきた。町のあちこちに山菜がでてドライブ&山菜採りの季節だ。

楽しいだけではないけれど、ここに来てからの方が楽しいことの方がずっと多い気がする。ほんとうのマスタードラマーになれるよう頑張ろうと思っている。

研修生 夏 写真(2015)

ひょうたんを植え付けているところ。 白樺の革細工のことを知る。白樺は伐採した幹の皮をはがしてみたらつるっと面白いようにはがれて面白い。 葉を軽トラで集めてきた。これを細かくして干してお茶にする。生葉を濃く煮出したものは、畑の虫除けに蒔いた。

そしてカチマイ(十勝毎日新聞)にパンロゴクラブが。

 

研修生 夏(2015)

夏、といっても北海道は東京のようにうだるような暑さはない。爽やかな陽気だ。

こっちにしては小さいという畑は広く、庭いじりすらやったことのなかった私が草むしりや水やり、防虫に勤める毎日。白樺の葉をお茶にするため刈り取ってノコギリやハサミで小枝を切ったり、そんなこともした。合間にはシーズンが始まったのでコテージの準備もある。時折、白樺の葉で芳香蒸留水を作ったり、焚き火で燻製を作ってみたりしたが、雑用は山積みでそっちがメインになってきた。広い白樺林の草刈りも草払い機を担いで何日もかかった。春の間に2m近くにもなる雑草….。丸ノコのついた草かり機であっちこっち刈りまくった。リスが隠した木の実から芽が出ているのを発見したり…面白かったが、重いのでけっこうこたえたが毎日頑張っていた。だんだん、外での作業が楽しくなってきた。畑で汗にまみれ、拾い集めた枝で焚き火をして、ほっと一服するときに周りの景色や時々上を飛ぶ飛行機を眺めては不思議な気持ちでいた。だんだん育つ野菜。土もいいなあと思った。(まいにちクタクタだったけど)白樺で作っていたククサを家で削るようになって少しづつ形もできてきた。空いている畑スペースでチャンシーは、試験的にひょうたんを栽培し始めた。畑で草取りをしているときにチャンシーが自転車でひょうたんを見に来る。はじめてひょうたんに実が付いたときはなんだか嬉しかった。

地域おこし協力隊の企画のイベントにも色々参加して、人もだんだん繋がってきた。イベントがあるたび演奏もして、町の祭りにも出演して、少しづつパンロゴクラブの参加者も増えた。十勝毎日新聞にも何回か載って、思わぬところで声をかけられることもあった。

顔は真っ黒になって、なんだか健康になってきた。ここに来たおかげで、かなり人間らしく暮らせるようになったのかもしれない。ざっくり書くとあっさりしてしまうのだが、とにかくなんでもやった夏だった。