夏、といっても北海道は東京のようにうだるような暑さはない。爽やかな陽気だ。
こっちにしては小さいという畑は広く、庭いじりすらやったことのなかった私が草むしりや水やり、防虫に勤める毎日。白樺の葉をお茶にするため刈り取ってノコギリやハサミで小枝を切ったり、そんなこともした。合間にはシーズンが始まったのでコテージの準備もある。時折、白樺の葉で芳香蒸留水を作ったり、焚き火で燻製を作ってみたりしたが、雑用は山積みでそっちがメインになってきた。広い白樺林の草刈りも草払い機を担いで何日もかかった。春の間に2m近くにもなる雑草….。丸ノコのついた草かり機であっちこっち刈りまくった。リスが隠した木の実から芽が出ているのを発見したり…面白かったが、重いのでけっこうこたえたが毎日頑張っていた。だんだん、外での作業が楽しくなってきた。畑で汗にまみれ、拾い集めた枝で焚き火をして、ほっと一服するときに周りの景色や時々上を飛ぶ飛行機を眺めては不思議な気持ちでいた。だんだん育つ野菜。土もいいなあと思った。(まいにちクタクタだったけど)白樺で作っていたククサを家で削るようになって少しづつ形もできてきた。空いている畑スペースでチャンシーは、試験的にひょうたんを栽培し始めた。畑で草取りをしているときにチャンシーが自転車でひょうたんを見に来る。はじめてひょうたんに実が付いたときはなんだか嬉しかった。
地域おこし協力隊の企画のイベントにも色々参加して、人もだんだん繋がってきた。イベントがあるたび演奏もして、町の祭りにも出演して、少しづつパンロゴクラブの参加者も増えた。十勝毎日新聞にも何回か載って、思わぬところで声をかけられることもあった。
顔は真っ黒になって、なんだか健康になってきた。ここに来たおかげで、かなり人間らしく暮らせるようになったのかもしれない。ざっくり書くとあっさりしてしまうのだが、とにかくなんでもやった夏だった。