ここらで仕事のことを考えてみる。
移住して田舎に住みたいとぼんやり想っている人はたくさんいると思う。でも、実際に実行する人は少数だ。今の状況から、ガラッと全てを変えるのは容易なことではない。距離が遠くなればなるほど、移動にもお金がかかるし、今のご時世そんな思い切った…なんてね。
うちの場合は、神意みたいなものを感じたし、ぐいぐいとそっちにひっぱられるような、背中を押されるような成り行きというのがあった。そして一年間何をしようか考える猶予もあった。(まあ、毎日は大変は大変だったけど)
大抵、私達くらいの年代で移住なんていうとそんなに働かなくていいご身分だと想像されることが多い。が、そんなことはないよ。年金もまだもらってないし。
「金があるのと無いのは、同じこと」そう、師匠のカクラバ・ロビは言っていたが、まさにそうなのだ。都会でなんでも揃っていてあれを買おうこれを買おうなんて考えていても、そういう環境が無くなってみると、無くてもいいものはたくさんある。買い物は、日常の必要なものだけ、変わったものは遠出して、わざわざ買いに行く。そんな生活になればなったで、どうにかなるものだ。
最初の一年、研修生の給料でなんとかしてきた。公共住宅に入ったので家賃は安いし、物価も珍しいもの(東京でありきたりのものがこちらでは珍しいものに入っていたりするが)さえ買わなければそんなに生活費はかからない。逆に都会で高級食材だと思っていたものが、びっくりするほど安かったり。生活費がかからないので、そんなに貧乏な風でも無く、普通に生活できていた。食べるものは安くて美味しいし、自分で作る手間を惜しまなければ、かなり質の良いものを食べていける。
月に一度くらいの割で、帯広のカルディコーヒーファームに買い出しに行く。(今回は数ヶ月ぶりだったが。)コーヒー豆、パスタ、オリーブオイル、スパイス、岩塩、紅茶など買ってくる。こういうものがあるといろいろ作れて美味しい食材が生きる。そしてAmazonもよく利用して、ちょっとしたものなどを買っている。地方でこそ、Amazonはたいへん便利だ。(北海道は当日や次の日には届かないが…)
さて、今年の春、大樹町にある工場に勤め始めた。また介護食を作る仕事もかんがえたが、新しいことをやってみるのもいいかもと、別の職種にした。こっちに来てからの友人が紹介してくれたところだ。東京で、むかしは三鷹あたりだと組み立て工場なんかがあって、趣味と実益を兼ねた工場勤め。わたしはそんなところで半田付けとかおぼえたのだが、ある時を境に一気に移転してしまった。その点、地方は巨大な工場がいくつか必ずある。十勝は食品関係の加工工場など。介護関係も必ずある。介護食を作る仕事も。この土地ならではの仕事もある。だから、一番の不安材料である、「地方に行ったら仕事がないから移住できない…」は、実際来てみると、そうでもないようだ。要は、都会にしかない仕事を選ばなければいいのだ。ほかにも面白そうな仕事は探せばいろいろあると思う。そして、「仕事は作れる」だろうと思う。(まだ、来たばかりでその域にまでは行っていないのだが…。)最低賃金は、都会よりかなり低いので初めは驚くが、二人で働けば、生活費を考えるとかえってリッチに暮らせるかもしれない。
住めば都、来てみればきっとなんとかなると思う。工場勤めも半年くらい経って、まあ、いじめっこがいたり、どこもいろいろあるけれど、わりと楽しくなってきた。チャンシーもドライバーの仕事を春から始めたところだ。